小さなSOS
他愛もない会話。
メールの文句。
一瞬の間。
色んな所に潜ませた小さな暗号は今日もまた届かない。
もう諦めればいいのに自分はずっとこんなことを繰り返している。
これは?
これは?
これならどう?
何度も何度も。
いくつもいくつも。
でも、分かってる。
これもまた気付かれない。
違う。
そんな言葉が欲しいんじゃない。
どうして分かってくれない?
でも、分かってる。
きっと自分も相手の暗号に気付いてない。
見当違いの答えを出して相手を落胆させてる。
分かってる。
相手が悪いんじゃない。
自分に伝える力が足りない。
本当に欲しい言葉があるならそう言えば良い。
それだけのこと。
でも、それじゃ意味がない。
自分から欲しがって、もらった言葉じゃ意味がない。
だから仕方ない。
仕方ないんだよ。
同じ固体でない以上分かり合えない。
そういうことは少なからずある。
だから自分だけ分かってもらおうとするのはずるい考えだ。
自分だって分からないくせに。
自分の出来ないことを相手に望むのは過ぎた願い。
でも…
分かってくれたらって思う。
気付いてくれたらって思う。
全部なんて無理だって知ってる。
でも、一個でも、この一個だけでも良い。
このSOSに気が付いてくれたら。
そしたら自分はきっと少しだけ楽になれるのに。
でも、これは過ぎた願い。
もっと伝え方を分かりやすくしかない。
でも、天邪鬼の自分は、恥ずかしがり屋の自分はきっと上手く伝えられない。
じゃあ、もう諦めて伝えるのをやめるしかない。
でも、馬鹿だから期待してしまう。
次なら見つけてもらえるかもしれないって。
ほら、振り出しに戻った。
いつまでも堂々巡り。
でも、きっと一生やり続けるんだ。
今まで一つも見つけて貰えなかった訳じゃないから。
『次は気付いてもらえる』
そんな夢を見続けるのさ。