ある災難な日
何でこんなことになってるんだろう。
5分前まではいつも通りダラダラと店番をしてたのに…
「…ご用件は何でしょうか?」
「金を出せ」
そりゃそうだ。
店員にナイフ突きつけて言うことと言ったらそれしかない。
まあ、正当性もあるし一人で出来た度胸に+5点。
「なんでこの店なんでしょうか?」
「通りかかったからだ」
どうしよう。
突っ込みどころが多すぎて何処から突っ込んでいいのかわからない。
それに横暴だから-20点っと。
「今からでも他の店に変えませんか?」
「はぁ?金を出せって言ってんだよ!死にてぇのか!!」
強盗は私の喉元にナイフを押し当てる。
言動の全てにオリジナリティのかけらもない。
しかも短気。
これは-30点だな。
さてっと・・・知らないよ、警告したからね。
「どの位欲しいんでしょうか?」
「はぁ?」
「ですから、どの位必要なんですか?お金」
「有り金全部に決まってんだろうが!!」
これもベタすぎ、-15点。
「いれる物がないと差し上げられないのですが」
「じゃあそれも用意しろ」
意味もなくえらそう、ムカつくから-15点。
「あの、本当にこの店で…いいんですか?」
「訳わかんねー事言ってないで早く用意しろ!!」
「耳元で…ウルサイ。-25点」
私はエプロンのポケットから護身用の改造スタンガンを出して相手の首筋におもいっきり当てた。
「だから警告したのに…店長、強盗を警察に届けてくるんで店番お願いします」
「ああ、いってらっしゃい」
お使いに行く店員を送り出すくらいの気軽さで手を振る店長を尻目に気絶した男をひきずり警察署へと歩く。
「よりにもよって暗殺者がバイトしてるコンビニに強盗にくるなんて運なさすぎだよ、おじさん」