「もういいです。失礼します」
そう言って告白した、いやしようとしていた男子は去っていった。
「あーあ。逃げられてやんの」
「違うわよ。もともと断ろうと思ってたの」
「何でだよ?」
「あんたには関係ないでしょ」
「何だよ人が心配してやってんのに」
「余計なお世話よ」
「そう言うあんたはどうせ告白されたこともないんでしょ?」
「俺には隠れファンが多いんだよ」
「隠れ…ねぇ」
「なんだよ?」
「別に〜」
2人きりになればいいムードになるかと思ったけどそう簡単にはいかないか。
「ほら、帰るぞ」
「何で一緒に帰らなきゃいけないのよ」
「方向が一緒だからに決まってるだろ」
ひとしきり言い合うと、2人は並んで歩き出した。
その間には少しだけ間隔が開いていたけれど。
「もう少し離れなさいよ。付き合ってると思われたら嫌でしょ」
「ならお前がもう少し離れろよ」
照れ屋もここまで来ると病気の類だな。
でも、彼があの言葉を覚えているなら。
大丈夫だ。
きっと。